まじめなもくてき
ここでは、学術的に
「むしぎらい文化」を解析することが
どのような意味をもつか,
その展望を紹介します。
このHPのきっかけの一つとなった論文があります。
Feelings Into Words: Contributions of Language to Exposure Therapy
「むしに対する恐怖は言葉で具体的に表現すると軽減する!」という論文です。
つまり、むしぎらいの人が虫について表現すると
むしぎらいは克服できるかもしれないのです。
ただ、この論文ではタランチュラで解析しており、
また、皮膚の発汗量では有意な差が見られたものの、
自己申告では有意差なし、
というなんとも惜しい結果となっており、十分な調査とはいえません。
また、
欧米における虫嫌いの多くは
「虫無関心」ともいえます。虫の生息数が少なく、
虫で遊ぶという文化もないため
論文で使われたタランチュラと日常生活で遭遇することはありません。
「未知で、共感しにくい生物への恐怖症」の一種と
みなせるでしょう。
ところが
欧米の虫恐怖症にはない特徴が
日本のむしぎらいにはあるのです。
まず、昆虫種によって特異的なむしぎらいが存在すること
。顕著な例が「ゴキブリ嫌い」ですね。
一度ゴキブリ嫌いになると、野外の森林性のゴキブリですら嫌われます。この種特異的なむしぎらいはある程度「種の同定」ができていることが前提となります。日本のむしぎらいは、実は昆虫をよく観察しているのです。
もう一点は、成長に伴いむしぎらいが変化することでしょう。「子供の頃は大丈夫だったのに」という話をよく聞きます。
某子供向け教育雑誌の編集者に聞いた所、小学校1〜2年生までは男女ともに昆虫コンテンツは人気なのですが、徐々に女子が昆虫から離れ、男子も高学年に行くにつれて虫から距離を取るそうです。このような「社会的圧力」が虫嫌いを誘発しているのではないかと考えています。
また一方で、虫好きの親に育てられたからといって
虫好きにならない。虫好きの配偶者と一緒にいても虫好きにならない、等 単純に虫との接触期間が虫嫌い・虫好きと相関するとは考えにくいでしょう。
これらのアンケート・インタビューによって
虫嫌いをもっとカテゴライズする必要がありそうです。
最終的には
日本ならではの多様なむしぎらいのタイプ分類と
タイプごとの
克服アプローチを見つけ出すことが目標です。
そのため、このHPは「スケッチ展 むしぎらい」へ向けた
アート・プロジェクトでありながら
学術的な「虫恐怖症克服プロジェクト」の
第一歩でもあります。
そのため、様々な分野の研究者の方に声をかけており
ご賛同頂いた方から随時ご紹介させていただきます。
また、新規の研究参加者の方も募集します。
長文を読んでくださりありがとうございました。
仮所長(言い出しっぺ) むしクロトワ