一撃殺虫!!ホイホイさん

「20XX年、害虫は一切の駆除剤を克服していた。それに対抗すべく日本企業(マーズ製薬)は超小型駆除ロボット『ホイホイさん』を発売したのだった!」

 

-----という前置きから始まる

ある意味リアルな近未来SF

 

実際に殺虫剤耐性をもつ害虫も誕生していますし、
甘い誘引剤への好みが変わり「辛党」になったと思われる

アメリカの研究もあります。

 

昆虫への対処法が物理的なものになる日も

近いかもしれません。

 

現在の殺虫剤への依存度を考えると、家庭用より
農業向けに虫駆除や雑草の排除などを商品化すると

 より儲かると思います。どうですかマーズ製薬さん!

 潰せ!モンサント!

 

さて

ホイホイさんなどの害虫駆除ロボットは

3万円から4万円の間で基本セットが用意され、

劇中では

害虫以外からの物理的な衝撃でよく壊れています。

 

イメージとしては
スマートフォンや携帯ゲームへの出費に

近いでしょう。アクロバティックに動くので

故障の頻度は高そうです。

 

本作品で注目したいのは

「ホイホイさんは必ずしも害虫駆除だけで購入されているのではない」ということです。

 

カスタムパーツ(蚊用飛行ユニット)

きせかえ(サンタホイホイさん)

他社競合製品(コンバットさん、ペストXさん)

画像認識(益虫との区別)

リモートコントロール機能

 

 などなど、

今ままでのロボットやドールとしての遊び方と

害虫駆除という実用性(という名の免罪符)

を掛けあわせることで

 

1体数万円という家計支出を
一般家庭に許容させたのでしょう。

販売所が「薬局」というのも

単価・セキュリティ対策共に

販路として素晴らしい開拓だと思います。

 

さて、

なんだかマーケティング話になってしまいましたが。

戻りましょう。

 

次に

ここでの「むしぎらい」について

について見て行きましょう。

 

主人公(?)油壺氏は京都在住。借家住まい。

萌え、ロボット、ミリタリーいずれにも精通する

正統派オタク男性といえます。

 

給料は手取り17万円

ある回では

そのうち16万円をホイホイさん購入に充てていることから、ボーナスや福利厚生のしっかりした企業に勤めているのでしょう。

ホイホイさんが殺した虫を報告しても
リモート・コントロールでカメラ越しにゴキブリの

集合場所を見つけた時も「うわぁ」程度ですので

 

通常程度のむしぎらいで

生きた虫>死んだ虫という傾向がみられます。

 

一方

ヒロイン(?)きみ子さんは

油壷氏が通う薬局の店員(薬剤師免許なし)で

むしぎらいというより「殺虫行為(死骸)がキライ」

という少しめずらしいパターンです。

 

当初購入したホイホイさんを

仕事後の返り血(!)を浴びた姿にトラウマになり破壊、

「ホイホイさん大の苦手。エンガチョ」とのこと。

 

更には

ホイホイさん競合商品、

音声認識可能の「コンバットさん(キンリュー)」

に対して「虫なんて殺さなくていい」と命令します。

 

殺虫剤の効かない世の中ですから、

現在よりも多く害虫が生息しているはずですので

もはや

「虫嫌い」とはいえないかもしれません。

「殺虫嫌い=虫死体嫌い」といえるでしょう。

 

ここで興味深いのは、

殺虫の主体「ホイホイさん」が

苦手になっているところです。

 

更に

音声での報告「蚊◯匹、ゴキブリ◯匹」ですら

ノイローゼのようになってしまい

故障で動いていない他人の(油壷氏の)ホイホイさん

が「使用済み」であることを知ると

衝動的に破壊してしまっています。

 

この損害(29800円)は給料から天引きされたので

薬局のバイト店員であるきみ子さんの

QOLを大きく下げているといえるでしょう。

 

このように

本来恐れる対象(殺虫)と、

そうでないもの(ホイホイさん)が関連付けられ、

恐れる対象が不在なのにもかかわらず、

関連したものだけ(ホイホイさん)で

恐怖の情動が現れることを、

トラウマ記憶」といいます。

 

これが日常生活に支障を来すようになると

病気と診断され

PTSD posttraumatic stress disorder

と呼ばれます。

 

トラウマ記憶は一日以内に「安全である」という

再学習で軽減するそうですので、

きみ子さんにはホイホイさんの殺虫トラウマ直後に

ホイホイさん単体への

愛玩を行って欲しかったところです。

 

トラウマ体験としてのむしぎらいは
ひとくくりにできるものではなく、

各個人それぞれのエピソードによって異なります。

また、

その時の恐怖の情動と記憶の条件付けですので

合理的に説明ができない要素を多く含みます

 

それを

むしごときで大げさ・ナンセンスと

こき下ろすのではなく、

このHPに吐き出してもらうことで

(できれば皆で楽しんでいただくことで)

傾向と対策をまとめ、
その後の緩和ケアのようなことまで

まとめることができれば、と思います。

 

ということで

投稿やコチラにおねがいします!